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アメリカを通じてEUや新興国に投資する方法 -ADRを利用した株式売買-

米国市場にはADR(American Depositary Receipt:米国預託証券)を利用して上場する海外企業が多数存在します。 日本企業はもちろん、ヨーロッパの有名企業や、新興国の成長著しい企業などが上場しており、この仕組みを知ることで世界への投資の幅が広がります。

本記事ではADRを利用したニューヨーク市場上場の企業として、

  1. ARMホールディングス(ティッカー:ARMH)※2016年9月6日上場廃止
  2. LINE(ティッカー:LN)
  3. ゴールドフィールズ(ティッカー:GFI)
  4. タタモーターズ(ティッカー:TTM)

の4社の例をご紹介します。

もちろんこのほかにも中国企業なども多数上場していますので、例えば阿里巴巴集団(アリババ集団)や百度(バイドゥ)等への投資も可能です。

ADRを通じて投資を行うためには、米国株式を売買できる証券会社の口座が必要です。 2016年7月25日現在で、最も手数料体系で優れているのはSBI証券とマネックス証券です。

公開:2016年07月25日 最終更新:2016年09月06日

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はじめに

日本からアメリカへの投資はだいぶ環境が整ってきましたが、それ以外の第三国への投資はまだ制限が多いことが多いです。 例えば、南米やヨーロッパへの投資は、高コストの投資信託を使うしか術がないように思います。

が、しかし。

実は米国株式への投資を通じて、アメリカ以外の第三国の企業に直接投資する方法があります。 利用のためには米国株式へ投資できるネット証券の口座が必要で、それを開設することで投資の幅はさらに広がります。

以下では、それを実現する方法としてADRと呼ばれる株式について紹介します。

投資してみませんか。 ヨーロッパの超有名企業や新興国の成長企業に。

ADRとは

ADRとは「American Depositary Receipt(米国預託証券)」の略称で、米国以外の市場に上場する企業の株式を、アメリカの市場でドル建てで取引できるようにした仕組みです。

と書くと意味が分かりにくいのですが、例えばLINEのような日本の上場企業をニューヨーク市場でも取引できる仕組みのことです。 ドル建てで取引されるので、アメリカの投資家が自国にいながらアメリカ国外の企業に投資する方法と思っていただくと良いです。

2016年現在、ネット証券を通じてアメリカやASEAN諸国への投資環境は整ってきましたが、ヨーロッパ圏やその他の新興国への投資環境は未整備です。 国によっては外資の参入を規制しているところもあり、そもそも投資が難しいケースもあるからです。

そんな時に利用できるのがADRです。

日本からADRを通じて第三国の株式を買い付けることで、日本のネット証券からは投資できない国の株式を直接保有することが可能になります。

ADRを通じて買える国はどこ?

現在のところ、SBI証券からはADRを通じて以下の国の株式を買い付けることが可能です。

  • イギリス
  • インド
  • 中国
  • 香港
  • 南アフリカ
  • ブラジル
  • メキシコ
  • オーストラリア
  • ロシア
  • ルクセンブルグ
  • イスラエル
  • 日本
  • その他

上記各国の有名企業のうち、それぞれ数社~数十社程度をADRを通じて売買できます。

ADRのメリットとデメリット

では、ADRのメリットやデメリットをみていきましょう。

  1. ADRのデメリット
  2. ADRのメリット

ADRのデメリット

  • ドルで取引するため、為替相場やスプレッドの影響を受ける
  • ADR銘柄を原株に交換できない

ADRはドルで取引しますので、為替相場や証券会社が設定するスプレッドの影響を受けます。

また、ADRで株式を買い集めても原株(企業の所在地で上場している株式)への転換はできません。

ADRで日本企業を買うデメリット

ADRを通じて日本企業の株式を買う場合も円をドルに変える手間がかかります。 証券会社によっては円貨決済もできますが、結局為替手数料(スプレッド)は生じるため、日本円で買うよりも少しコストが上乗せされます。

単に投資可能額が少ないならば、単元未満株が手軽です。

ADRのメリット

  • 投資信託と異なり、特定銘柄の直接保有が可能
  • 配当金はドル建て
  • 日本株のADR銘柄を見て、翌日の株価を予想できる

上述のとおり、日本では投資できない国や地方の株式に直接投資できることです。

投資信託を通じた投資では、ヨーロッパや新興国へ投資できても、株式の直接保有はできません。 特定の銘柄を直接保有したいならADRが良いです。

ADRで日本企業を買うメリット

ADRで日本企業を購入したとしても、配当金はドル建てで出ますので、円に対するリスクヘッジになります。

また、日本株のADRを見て、翌日の株価を予想することも可能です。

ADRで取引できる有名企業の例

では、SBI証券を通じて取引可能ないくつかの有名企業を紹介します。

ARMホールディングス(ティッカー:ARMH)(2016年9月6日上場廃止)

ソフトバンクの買収によって上場廃止になりました(2016年9月6日加筆)が、当初記事執筆時点(2016年7月20日)ではまだARMホールディングス(ティッカー:ARMH)の取引ができるため、触れておきたいと思います。

こういった企業も取引できる(できた)んですよ、という意味で。

ARMホールディングスは日本のルネサス(証券コード:6723)やアメリカのインテル、テキサスインスツルメントのようにマイクロプロセッサの設計・開発を行う企業です。 ただし、工場を持つルネサスやインテル等と異なり、ARMは工場を持たないファブレス企業で、実際の製造はARMと提携した別の企業が行っています。

例えばQualcommやMediatekが有名です。

ARMが設計したARMアーキテクチャは、現在のWindowsパソコンで採用されているインテルのx86アーキテクチャと比較して省電力性に優れています。 そのため、消費電力が問題になりやすいスマートフォンや家電製品などの組み込み製品にて圧倒的なシェアを持っています。

あなたもおそらくARMのCPUが載った製品を1つぐらいは持っているはず。 その代表例がAndroidスマートフォンです。

家電製品の場合、CPUにARM、OSにLinuxを採用する製品も出てきました。 かつては単純な処理しかできなかった家電製品にも、高性能なCPUやハードウェアを搭載できるほどに技術が進化してきたのです。

近年、IoT(Internet of Things:物のインターネット)が話題になっているのも、CPUや付随するハードウェアの高性能化の恩恵を受けているからです。 この分野が今後も発展し続けるのは確実だと筆者は考えます。

余談ですが、日本で組み込み製品向けのチップを作っているのがルネサスです。 「H8」と呼ばれる有名なチップがあり、古くから良く使われていました。

LINE(ティッカー:LN)

2016年7月に日本で上場したLINE(ティッカー:LN)は、同時にADRを利用してニューヨークの市場にも上場しました。 アメリカ株式には単元制度がない(単元については初めての株式購入。株を買うにはいくらお金が必要なの?)ため、日本では40万円程度必要な売買代金も、ADR経由であれば1株40ドル程度から買い付けることが可能です。

アプリケーションとしてのLINEは、韓国に本社を持つNaverの日本子会社が開発しました。 LINEは日本製とも韓国製とも言われますが、上場前のLINE株式会社の株主の多くは韓国人であり、資本だけでみればLINEは韓国製といったほうが適切です。

LINEと同じような機能を有するアプリにMicrosoftが提供しているSkypeがあります。 Skypeも音声通話やショートメッセージの交換ができ、パソコン経由での利用は普及しているのですが、スマホではあまり普及しませんでした。

なぜLINEが普及したか、いろいろ見方があるでしょうが、一つのLINEというアプリ上で友達ID交換からメッセージと通話までできる点や、ブラウンやムーンなどの可愛いスタンプがあると思います。 特に若年層向けに受けやすいつくりになってますよね。

ところでLINEがコミュニケーションアプリのシェアを占めているのは日本だけです。 海外(特に欧米圏)には「WhatsApp」という別のトークアプリが存在し、LINEがリリースされた時点ですでに普及が始まっていたからです。

日本では鳴り物入りで上場しましたが、海外の人たちにとってはあまりそうではないのかもしれません。

ADRでの株価と日本での株価が異なる理由

がまぐち

ADRで米国市場に上場する株式のうち、円換算後の株価が日本の株価と一致しない株式があります。

例えば、任天堂は日本での株価23,550円(2016年9月6日現在)に対し、ADRでの株価は28.84ドル(2016年9月2日現在)です。 これに、1ドル103円をかけても2,970円にしかなりません。

これはADRでの株価と日本での株価が必ずしも1:1ではないことを意味します。

ここで例示した任天堂のケースでは、ADRの株価を8倍することで日本の株価とほぼ同じになります。 一方、上述のLINEのケースでは、倍率が1倍ですのでドルを円換算に直せば、ほぼ日本での株価になります。

ゴールドフィールズ(ティッカー:GFI)

投資家にとっては高金利通貨(ランド)の国として知られている南アフリカは、鉱物資源の豊富な国としてもよく知られています。 あなたもきっと社会の教科書でならったことがあるはずです。

例えば、南アフリカは2012年の世界ランキングでは6番目に金の産出が多い国です。 そこでADRを通じて金鉱開発の企業に投資することができます。

南アフリカの金鉱株として以下の3社が有名です。

  • ゴールドフィールズ(ティッカー:GFI)
  • ハーモニーゴールドマイニング(ティッカー:HMY)
  • アングロゴールド・アシャンティ(ティッカー:AU)

そのうちの1社がゴールドフィールズ(ティッカー:GFI)です。

ゴールドフィールズは南にアフリカ、オーストラリアと南米ペルーに鉱山を保有しており、その生産量は、170 moz(million oz : トロイオンスの場合、1オンスは31.1g)にもなります。 同時に銀やプラチナなどの希少金属も産出しています。

同社はヨハネスブルグの証券市場と、アメリカの市場に上場しています。 ここ2年の株価は1株あたり3~6ドルと、非常に投資しやすいのが特徴です。

アメリカ株式への少額投資では、株式の売買額に対して手数料比率が大きく、手数料の分だけマイナスになってしまう「手数料負け」が生じやすくなります(詳しくは少額での米国株投資は損か得か)。 故に、例えば100株や500株といった少しまとまった単位で買うのが良いです。

100株購入したとしても、100株 × 6ドルで約6~7万円程度と、日本円で考えれば十分少額投資です。 SBI証券の手数料体系ならば、この時の手数料は最低額の5ドルで購入できるため、手数料負けしにくくなります。

ちなみに、日本における金鉱山株として住友金属鉱山(証券コード:5713)があります。 同社が保有する菱刈鉱山は、マグマに加熱された熱水に溶け込んだ各種元素が、地中の割れ目などの通る際に鉱物を沈殿させることで形成した熱水性鉱脈で、世界でも有数の品位を持つことで知られています。

金投資等に興味があれば、あわせて保有してみてはいかがでしょうか。

タタモーターズ(ティッカー:TTM)

個人が投資しにくい国の1つにインドがあります。 インドでは各産業分野において外資の出資比率を規制しており、まだ直接投資を扱うネット証券はありません。

現在のところは投資信託を通じて、インド国債やインド株式に投資を行うのが一般的です(手数料がかかるファンドも多いですが)。

そんなインドの企業において、ADRを通じて直接投資できる企業がタタモーターズ(ティッカー:TTM)です。 ご存知の方も多いと思いますが、タタモーターズはトヨタ(証券コード:7203)のような自動車製造企業で、イタリアのフィアットなどとも業務提携を行っています。

日本でタタモーターズが有名になったきっかけは、2009年に発売されたタタナノです。 当時の販売価格で約28万円という驚きの値段で、日本からもどのようにすれば買えるのか、と話題になりました。

タタナノは同国のあまり金銭的に裕福ではない層をターゲットにしているようで、2016年7月現在で日本での販売予定は発表されていません。

ところでインドでの重要な課題は、同国の人口増加や産業に発展に対してインフラ整備が追いついていない点です。 経済産業省が2007年にまとめた通商白書2007では、インドでのビジネス環境の最大の課題として、インフラが未整備であることを挙げています。

高成長を遂げるインド経済 | 通商白書

これによれば、電力不足などとともに、物流を支える道路が貧弱だとのことです。

2016年現在でインドでは第12次5ヵ年計画と呼ばれる国家プロジェクトを実施しており、道路の複線化や高速道路の建設を行っています。 今後自動車の需要が高まる可能性は高く、タタモーターズにとって追い風になると筆者は考えます。

インドは将来中国の人口を上回り、世界最大の人口を有する国になる見込みです。 今のうちに投資して長期保有するのも良いかもしれませんね。

まとめ

以上です。 実際にはもっとたくさんありますから、ご自身でもお気軽に探してみてください。

ちなみに、個人的には最後に述べたタタモーターズなど、インドへの投資が興味があります。 投資信託からも投資ができますが、コストパフォーマンスがあまり良くないのがネックです。

そこで筆者が考えるならば、

  • ADRを通じたタタモーターズ等への直接投資
  • ウィズダムツリー インド株収益ファンド(収益性の高いインド企業に投資を行うETF)

などを選択したいと思います。

ネット証券では取引を提供していない第三国へ投資を行う場合、

  • ETFを利用するか
  • ADRを利用するか

はあなたの判断次第です。

もし分散投資ならではのリスク低減を図るならETFを、直接投資でリターンを大きく狙いたいならADRでの個別投資がオススメです。

なお、それらに投資する際には手数料体系で優れたSBI証券かマネックス証券の利用がオススメです。

いつもご覧頂き励みになります。お気に召しましたら是非シェアしてね!

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