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公開:2016年04月01日 最終更新:2017年05月14日

「人気があるから」という選び方はおかしい -日本株アルファ・カルテットを例に-

投資信託選びでは、

  • 人気があるから買う
  • 人気がないから買わない

と考えている方がいらっしゃいます。が、この人気に基づく選び方は不適切です

本記事では、2014年~2015年と売れに売れまくった投資信託「大和住銀-日本株アルファ・カルテット(毎月分配型)」を例に、人気の投資信託が必ずしも運用面で優れた特徴を持つものではない点をご紹介します。

日本株アルファ・カルテット(毎月分配型) | 大和住銀投信投資顧問

この投資信託は、一時1万口あたり300円という超高額の分配金を設定しました。1年間に換算すると、300円 × 12ヶ月で3600円。利回りはなんと36%です。

しかし、その後分配金額は下がります。それでも、2017年4月現在でも1万口当たり100円という比較的高額な分配金を設定しています。

人気のファンドは「何故人気なのか」と客観的に分析した上で、買うかどうかの判断をすることをオススメいたします。

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日本株アルファ・カルテット

日本株アルファ・カルテット

アルファ・カルテットの仕組みを説明できるか?

そもそも、例題として挙げるアルファ・カルテットはかなりすごい仕組みになっています。

あなたはアルファ・カルテットの仕組みを理解し、説明できるでしょうか?

  • 日本株の値動き
  • 通貨(ブラジルレアル・円)の値動き
  • 株式カバードコール
  • 通貨カバードコール

日本株への投資

アルファ・カルテットは日本株へ投資を行う株式ファンドです。定性的には日本株の株価が上昇すれば、基準価額が上がりそうなファンドです。

組み入れ銘柄は日経平均株価構成比率と異なる

ただ、ちょっと待ってください。

2016年3月9日現在の組み入れ上位銘柄は、

  • 三菱UFJフィナンシャルグループ:6.4%
  • 日本電信電話:3.2%
  • トヨタ自動車:3.1%

など、日経平均株価とは異なる銘柄が上位比率となっています(2017年5月現在で、日経平均株価への影響度が高い3銘柄は、ファナック、ソフトバンク、ファーストリテイリングです)。

銘柄が異なることから、日経平均株価が上昇しても、必ずしも値上がりするとは限らないのが特徴です。

為替取引

アルファ・カルテットは単に日本株に投資するだけの投資信託ではありません。本題はここからです。

アルファ・カルテットは通貨選択型投資信託に「近い」特徴を持ちます。通貨選択型とは、投資したお金の一部でFXのような為替取引をやっているような仕組みのことです。

一般に通貨選択型は、新興国の高金利通貨が選ばれることが多く、2016年4月現在でアルファ・カルテットはブラジルレアルを取引対象にしています。

今(編注:記事執筆時の今は2016年のこと)のブラジルってどんな状況なのかご存知ですか?

ブラジルってどんな状況?

2016年にオリンピックが控えたブラジルは、原油安や政権腐敗の影響で活気よりも混乱に満ちている国です。

2014年頃、1ブラジルレアルあたり45円程度だったのが、現在は31円(!)まで円高ブラジル安が進みました。

円高ブラジル安は、アルファ・カルテットの運用成績を悪くする方向に影響を与えます。

この時点で、値動きの要素は日本株とブラジルの為替相場の2つ。単純に日本株に投資する投資信託よりも、値動きが複雑になります。

カバードコール戦略(株式・通貨)

さらにさらに、アルファ・カルテットにはカバードコール戦略と呼ばれる超複雑な運用を行います。

カバードコール戦略はオプション取引を利用した特殊な取引で、値上がり益を捨てる代わりに、下落時の損失を軽減する仕組みのことです。

ここ注意です。値上がり益を捨てるんです。

一般に、通貨選択とカバードコールを併用する投資信託は三階建てと呼ばます。アルファ・カルテットの場合、株式・通貨ともにカバードコールを利用するため、四階建てです。

カバードコール戦略って何が悪いの?

  • 将来の値動きを予想しにくい
  • 投資信託の運用コスト(信託報酬)が高くなりやすい

端的には、資産形成には向かないのがデメリットです。

カバードコール戦略は投資信託の運用者(ファンドマネージャー)が行う「投機的な取引」のようなものです。長期の資産形成において、投機的な取引は不要です。

加えて、投資信託の運用コスト(信託報酬)が高くなると、単純にあなたの利益が減ります。

ここまでのまとめ

ここまでをまとめると、アルファ・カルテットには、

  • 日本株の値動き
  • 通貨(ブラジルレアル・円)の値動き
  • 株式カバードコール
  • 通貨カバードコール

と、値動きをコントロールする要因が4つあることがわかります。

一言で、とにかくめちゃくちゃ複雑なんです

高い分配金の原資は?

そして忘れてはいけないのが、高い毎月の分配金です。

2017年4月現在、基準価額4,652円に対して、毎月100円の分配金が設定されています。表面利回りは、100円 × 12ヶ月 / 4,652円 = 約26%(!)です。

東証一部上場銘柄の平均配当利回りはせいぜい1.5~2%程度なので、利回りは26%には遠く及びません。

26% - 1.5~2% = 24%程度と、24%程度の利回りが不足します。

アルファ・カルテットは残りの利回りをブラジルレアルの為替金利やオプション取引(カバードコール)などの運用益で賄っています。

「日本株」と名が付きますが、その分配金原資の大半は日本株の配当金ではないのです

運用成績は・・・

このような凄そうな仕組みを持つにも関わらず、実は過去3年間の運用成績において、日本株アルファ・カルテットはニッセイ日経225インデックスファンドに劣っています(2017年5月14日現在)。

日本株アルファ・カルテットとニッセイ日経225インデックスファンドのトータルリターン比較(出典:モーニングスター)

日本株アルファ・カルテットとニッセイ日経225インデックスファンドのトータルリターン比較(出典:モーニングスター)

この過去3年間でより高い成績を出そうと思ったら、日本株アルファ・カルテットよりもニッセイ日経225インデックスファンドを買ったほうが正解だったのです。

過去の運用成績は必ずしも将来の成績を保証するものではないので、今後高い利益が出る可能性もあります。しかし、将来の見込みを予想する際にカバードコールのような要素が多すぎるのは少々問題です。

加えて、日本株アルファ・カルテットにはベンチマークがありません。このことは、日本株アルファ・カルテットの現在の運用成績を測る術がないことを意味します。

結局、複雑なことをやっているせいで、前を見ても後ろを見ても理解しがたい部分が多いのが問題なのです。

人気ファンドは優れているとは限らない

弊サイト「インストックネット」ではできるだけ、「あなたが好きなものを選べば良い」というスタンスで運営したいと思っています。

ので、高い分配金を理由にあなたが買いたいと思うのでしたら、それは投資すればよいと筆者は考えます。

が、客観的に見て、この点だけは挙げておきたいと思います。

アルファ・カルテットは個人投資家に優しくない!!!

その理由は、ここまで述べてきた複雑怪奇な仕組みです。

ここから言えるのは、人気ランキングに顔を出す投資信託が、

  • 個人投資家目線で作られていて
  • 運用成績が良い

とは限らない、という点です。ランキング上位の投資信託を選ぶ際に、「なぜ人気が有るのか」と思いをめぐらせる必要があると筆者は感じます。

まとめ

以上をまとめると、

  • アルファ・カルテットは複雑怪奇な仕組みで運用されている
  • にも関わらず、2017年5月現在で単純な仕組みのニッセイ日経225インデックスファンドの成績に劣る
  • 人気ランキングに顔を出す投資信託が、必ずしも投資家目線で作られたとは限らない

です。

人気ランキングを根拠に買わないでくださいその投資信託がなぜ人気なのか、をぜひチェックしてみて欲しいです。

筆者は変な投資信託は好きですが、さすがにこの投資信託は買おうとは思いませんでした。

ネタで買ったとしても、せいぜい1万円だけです。資産全力で投資はさすがにできません。

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30代兼業投資家。株式と投資信託中心に少額投資中。

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