ソーシャルレンディングの安全性について考える

ソーシャルレンディング(投資型クラウドファンディング)は、法的には貸金事業に分類されます。 有価証券として管理される株式や債券とは仕組みが異なります。

この違いは、ソーシャルレンディング仲介業者が倒産したときに明確に影響します

証券会社が倒産したとしても、私たちが預けていた株式や投資信託などの資産は保護されます。 分別管理制度と投資家保護基金の2つのバックアップ体勢があるからです。

一方、ソーシャルレンディングでは私たちが投資したお金は、仲介業者の財務に組み込まれるため、分別管理されませんソーシャルレンディング業界最大手のmaneoマーケットに口座開設してみた!でも示したように、規約などには「融資期間中は仲介業者の財産に組み込む」と明記されています。

また、この財産を保護する投資家保護基金のようなバックアップ機関は存在しません。

すなわち私たちは、ソーシャルレンディングで投資を行うと、融資先事業者のリスクと仲介業者の信用リスクを背負うことになります。

ただ、株式や債券だって発行体の信用次第で紙くずになりますから、倒産を極端に恐れる必要はありません。 余剰資金を利用し、少額投資から始めるのが良いと筆者は考えます(関連してソーシャルレンディング初心者はどのような案件を選ぶべきか)。

なお、トラブル時には証券・金融商品あっせん相談センターを利用して、問題の解決・和解を図ることができます。 同センターは財産の保証は行いませんが、困ったときの相談窓口として利用可能です。

公開:2016年11月03日 最終更新:2016年12月05日

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はじめに

投資情報サイトを見て「ソーシャルレンディングって本当に安全なの?」と思ったあなたへこの記事をささげます。

筆者もこういったサイト(インストックネット)を作っている過程で、他の投資情報サイトも見ています。 出来るだけ差別化をし、深い情報を提供していくのが目的です。

他の投資情報サイトはソーシャルレンディングについて

  • 高利回り!
  • 不動産担保つき!
  • みんな儲かる!

みたいな話に行きやすいので、本記事ではその裏を行くことにしました。

ソーシャルレンディングと株式や投資信託との違い

私たち投資家側から見れば、「投資してお金を得る」といった見た目は一緒です。 ですが、ソーシャルレンディングと株式や投資信託には決定的な違いがあります。

  • ソーシャルレンディングは貸し金である
  • 株式や投資信託は有価証券である

なんとソーシャルレンディングは貸金事業なのです。

つまり、株式や投資信託への出資は投資なのですが、ソーシャルレンディングへの出資は融資というのが正解です。

なお、レンディングとはLendingと書き、Lendの現在進行形です。 Lendとは人に物を貸すと訳されます。

ソーシャルレンディングが貸金だとどう影響する?

大きな相違点の1つは、ソーシャルレンディング事業者が倒産した場合のお金の扱いです。

証券会社が破綻した場合

私たちが株式や投資信託として投資したお金は、取引した証券会社とは別の資産として管理されています。 これを分別管理と呼び、証券会社が倒産しても投資家のお金を守る仕組みとして利用されています(ネット証券って大丈夫?不安なあなたが気になりそうなことをまとめました)。

例えば、株式の株主情報を、証券会社は管理しません。 この情報を持つのは、証券保管振替機構(ほふり)です。

証券会社が破綻して「株主情報がわからなくなりました」では大惨事だからです。

また、証券会社各社は日本投資者保護基金に加入しています。 この基金はその名の通りに投資者保護を目的としており、万が一の際に1人あたり1000万円を限度に保証を行います。

基本的には、分別管理で資産は保護されているため、日本投資者保護基金は分別管理違反などずさんな管理が行われた際のバックアップとして活動しています。

ソーシャルレンディング事業者が破綻した場合

一方、ソーシャルレンディング事業者が破綻しても、上記のような預かり資産の分別管理やバックアップ体制はありません。 私たち投資家が投資したお金はソーシャルレンディング事業者の会計の中に組み込まれます。

例えば、財務状況を公開するmaneoの「maneoマーケット株式会社第1四半期決算書(連結)」を見ると、負債の部に「匿名組合出資金」とあります。 金額は約120億円で、これが私たち投資家が投資して、現在走っている案件の金額です。

資産の部におおよそ同額の営業貸付金があります。 営業貸付金とは、現在顧客に貸し付けている資金のことです。

なお、同社の投資口座の資金は分別管理が行われているようです。

maneoが投資を募集するローンは、全てmaneoの審査を通った案件のみです。 決算書・事業計画書・資金繰り表や担保・保証の有無など、借入れ申込者からの提出資料や指定信用情報機構へのデータ照会結果等の情報を精査し、経営者との面談を行ったうえで、最終的な融資の可否を判断します。 投資家の皆様の出資金元本の保全のために、安全性を最優先に審査しています。

※なお、maneoの投資は元本が保証されるものではありません。出資法により、元本を保証することは禁止されています。

また、投資口座の資金は、maneo (株)の固有の財産とは分別して、安全に管理されています

マネオの仕組み | maneo

このことから、ソーシャルレンディング仲介事業者が倒れると、

  • 投資して企業に貸し付けたお金は戻らないかもしれない
  • 投資口座の資金は保護される

可能性が高いと考えられます。

ソーシャルレンディングの問題は仲介事業者へのリスクを負うこと

ここまでをまとめると、私たちがソーシャルレンディング事業者を通じて融資事業に投資を行うと、同時に仲介事業者への信用リスクを負うことにもなります。 信用リスクとは、お金を貸したら返ってこない、という話です。

  • 融資先の事業者が貸し倒れたらお金が返ってこない(担保がある場合は補填される)
  • 仲介事業者が倒れたらお金が返ってこない(私たちは債権者になる)

将来的に投資家保護の仕組みが作られるかどうかはわかりませんが、現状では投資家保護の仕組みは不十分です。 また、ソーシャルレンディング事業者を判断する情報が少ないため、財務健全性の高い事業者を選ぶことも難しいです。

あなたがソーシャルレンディングをはじめるなら、そのあたりの事情を知った上で投資を行うのが良いと思います。

問題・トラブルに巻き込まれたら?

証券・金融商品あっせん相談センターが窓口になります。

証券・金融商品あっせん相談センター

仮に、ソーシャルレンディングを通じて不当にあなたの資金が失われた場合には、

  1. 証券・金融商品あっせん相談センターに申し立て
  2. 証券・金融商品あっせん相談センターが事業者を調査
  3. あなたにその結果を報告

します。

これだけで納得いかない場合には、

  1. 弁護士も交えて和解案を模索

することになります。

投資ファンドの貸し倒れは弁済されません

サムネイル

「投資して元本が割れたから不服申し立て!」といった使い方はできません。 各社は元本が保証されないことを明記していますし、もともと法律上元本保証を謳うこともできません。

また、同センターを利用するには、ソーシャルレンディング事業者が同センターに加盟している必要があります。

資産全力投資はしない

と、ここまで投資するのが怖くなる事柄を述べてきましたが、だからといって利用しないのはもったいない。 のですから、それなら慎重に利用してみようと筆者は考えます。

  • 著名企業だって粉飾等で上場廃止になることもある
  • 中小企業でも世界に通用する優良企業だってある
  • 株式や債券だって紙くずになることもある

結局将来何がどうなるかは誰にもわからないので、それなら慎重に利用してみようと筆者は考えます。

事業者を選ぶ際に、投資ファンド以外にもいくつかの判断ポイントがあります。

  • 黒字の業者を利用する(財務諸表が公表されている場合)
  • バックに大きな資本がある業者を利用する

財務諸表が公開されている場合、それに基づき会社の経営状態を判断できます。 例えば、上述のmaneoは財務諸表を公開しており、順調に黒字を出し、資産を増やしている事が見てとれます。

また、バックに大きな資本がある場合には、増資などの手段で資金調達することも可能です。 大手企業が株主として参加しているソーシャルレンディング事業者は複数あるため、それを基準に選ぶこともできると思います。

なお、万が一仲介業者が破綻した場合には、会社の財産が公平に債権者に分配されます(細かい優先順位はあります)。 破綻しても資産が0円になるわけではないので、お金がまったく戻ってこないという悲惨な状況になる可能性はかなり低いと筆者は考えます。

基本は、資産全力投資はせずに、ちまちまと投資していくのが良さそうです。

まとめ

以上です。 まとめると、

  • ソーシャルレンディングは貸金事業で、株式や投資信託とは仕組みが異なる
  • ソーシャルレンディング事業者が破綻した場合の保護制度はなく、私たちは債権者になる
  • 株式や債券だって紙くずになる場合もあるから、極端に恐れる必要はない

です。

制度的にはソーシャルレンディングは株式や投資信託とは異なるものの、投資は自己責任が大原則です。 仮に貸し倒れてお金を失ったとしても、それはあなたの責任です。

ですが、魅力的な利回りだけをアピールして、投資者の安全性が軽視されるのは問題だと思います。 投資する人がいなくなれば、仲介事業者も存続できなくなるからです。

将来的には何か保護制度など作られるかもしれません。 ソーシャルレンディングが日本で本格的に普及するのは、その法整備の後かもしれませんね。

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ソーシャルレンディングを始めるなら

2016年12月で約4万人のユーザーが利用する定番サービスです。 同時に走る案件数も多いため、早い者勝ちにならず、案件を選べます。 仲介事業者が財務諸表を公開していて、透明性の高い経営をしているのも嬉しいですよね。
当サイトはmaneoマーケットをお勧めいたします

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