米国債に投資する投資信託に関心がありますか?
この記事では、米国債に投資できる投資信託の種類と特徴を紹介します。
残念ながら、現在購入できる米国債ファンドは、私たちが投資する商品としては優れていないようです。そこで、それら商品の問題と、資産運用のシチュエーション別の対策を紹介します。
ちなみに米国債って、私たち個人でも100ドルから購入できます。「個人では買えないんでしょ?」って思っていらっしゃるなら、ぜひ以下の記事もご覧ください。
米国債って簡単に購入できるんですよ!

米国債ファンド(米国債100%で運用するファンド)って何がある?
筆者が認識しているものは以下の商品です。ここでは非上場のファンドに限ります。商品の中に販売機関がかなり限られるものもあるので、ネット証券でも購入しやすいファンドに限って紹介します。
以下で挙げるものは、米国債100%で運用されるファンドです。
大和投資信託
- 米国国債ファンド 為替ヘッジあり(年1回決算型)
- 米国国債ファンド 為替ヘッジなし(年1回決算型)
- 米国国債ファンド 為替ヘッジなし(毎月決算型)
- 米国国債ファンド 為替ヘッジあり(毎月決算型)
- 米国国債ファンド フレックスヘッジ(年1回決算型)
フレックスヘッジとは、金融状況に応じて為替ヘッジありと為替ヘッジなしを切り替えることを指します。
“為替ヘッジあり”は、為替変動の影響を小さく抑えるためにあるんだよ。
為替変動の影響を少なくし、投資対象の値動きのリスクで運用したい人、つまり、リスクをあまりとりたくない人や円高に進むと思う人にはおすすめだよ。逆に、為替変動の影響を受けた大きな価格変動を受け入れられる人、つまり、リスクをとっても大きなリターンを期待したい人や円安に進むと考えている人は“為替ヘッジなし”を選んだほうがいいかもね。
また、5種類のファンドの中には毎月分配型が混じっていますね。
三菱UFJ国債投信
三菱UFJ国際投信のファンドはいずれも毎月分配型です。類似ファンドを複数設定した理由はわかりませんが、米国債券オープン(毎月分配型)のほうが分配金も、信託報酬もより低く設定されています(2018年9月11日現在)。
これらの米国債ファンドに投資する価値はあるか
投資する価値は無いです
ばっさり切り捨てますが、これらのファンドを利用して「分配金を貰って生活を豊かに」なんて考えないほうが良いです。以下、問題点を挙げていきます。
商品がかかえる問題点
- 購入手数料がかかります
- 信託報酬が高いです
- 運用成績が良いのかわかりません
手数料(購入手数料)がかかります
上記に挙げた7つの米国債ファンドは、すべて購入時に購入金額の1.08%の手数料が発生します。つまり、最初の年は、マイナス-1.08%からのスタートで、そこを埋めなければいけません。
しかも、追加投資する際にも1.08%の手数料がかかりますので、毎回1%ずつ損失を抱えた状態からのスタートになります。
せっかくリスクの低い米国債を選んでいるのに、毎回損失からのスタートってイヤじゃないですか?
手数料(信託報酬)が高いです
信託報酬とは、投資信託を管理・運用してもらうための経費として、投資信託を保有している間はずっと投資家が支払い続ける費用のことです。ただし、別途支払うのではなく、信託財産の中から「純資産総額に対して何%」といった形で毎日差し引かれます。
投資信託の種類によって信託報酬は異なりますが、年0.5~2.0%程度が一般的です。
以下は各ファンドの信託報酬です。
- 米国国債ファンド 為替ヘッジあり(年1回決算型):1.1232%/年
- 米国国債ファンド 為替ヘッジなし(年1回決算型):1.1232%/年
- 米国国債ファンド 為替ヘッジなし(毎月決算型):1.1232%/年
- 米国国債ファンド 為替ヘッジあり(毎月決算型):1.1232%/年
- 米国国債ファンド フレックスヘッジ(年1回決算型):1.2096%/年
- 米国債券インカムオープン (愛称:夢咲月):1.134%/年
- 米国債券オープン(毎月分配型):1.08%/年
例えば、2018年9月11日現在で、米国債10年の金利は年間2.88%です。

仮に、この米国債を上記の信託報酬で運用すると、金利収入2.88%のうち、約1.08~1.2096%はファンドの運用コストとして消えてしまいます。つまり、あなたの取り分は残りの1.8%前後と減ってしまうんですよね。
この1%って勿体ないと思いませんか??
ベンチマークがないので、成績が良いのかどうかが分からない
上記に挙げた7つの米国債ファンドは、どのファンドもベンチマークを設定していません。
市場平均を表す指標。
投資信託の運用実績の良し悪しを判断するための基準値となるものです。例えば、日本の株式市場であれば、日経225種平均株価や東証株価指数(TOPIX)がベンチマークに相当します。一般的に日本株に投資する投資信託の場合、これらをベンチマークとしてファンドの運用実績の良し悪しを判断します。
ベンチマークがないので、そもそも現在の運用成績が良いのか悪いのかが評価できないのです。
たしかに、毎月分配金を貰えたらうれしい。
でも、他の商品に投資するともっと儲かっているとしたら?
対策:どのように米国債に投資するか
分配金が欲しいなら、「米国債ETF」がいい
国内上場商品では種類が限られるものの、米国債ETFのほうが良い商品が揃っています。個人的には、上記に挙げた投資信託を買うよりかは米国債ETFを購入したほうが良いと思います。

海外ETFの場合には、ドル建てですが、毎月分配金が出ます。国内ETFの場合にも年4回程度の分配金があるので、それらを生活の足しにするのはどうでしょうか。
例えば、SBI証券なら1日10万円以下のETF取引なら手数料無料で購入できます(アクティブプランの場合)。わざわざ、毎回1%の購入手数料を支払うよりも、こっちのほうが絶対にお得ですって!
投資額が許すなら、利払い日の異なる債券を保有する
米国債の利払い日は、その債券の発行月に依存するので、利払い日の異なる債券を6種類保有すれば、毎月15日をいずれかの債券の利払い日にできます。
ドル建てでの取引になるので、生活費や小遣いに利用するためには、毎回円への交換が必要になる点がデメリットですね。

資産形成目的なら、「先進国債券のインデックスファンド」がいい
あなたが分配金不要で、将来のために資産を増やすために米国債ファンドを選ぼうとしているなら、
など、2018年現在で主流の先進国債券インデックスファンドの選択をオススメ。コストも安く、米国債を中心に、先進国債券へ程よく分散されたポートフォリオを組んで運用されているので、下手に先に挙げた米国債ファンドを買うよりも安心して運用できます。
手数料無料で購入できますよ!
どうしても米国債ファンドを買いたければ
証券会社のキャンペーンを利用すれば購入手数料をお得に
証券会社の「投資信託購入手数料キャッシュバックキャンペーン」を利用すれば、購入手数料分をお得に取引できる場合があります。キャンペーンなので、やってないときもあるのがデメリットです。
筆者が見てきた感じは、楽天証券はたまにやってますね。SBI証券はあまりやっておらず、積み立てでのキャッシュバックが多い気がします。
まとめ
- 2018年9月現在で、投資対象として優れた米国債ファンドは見当たらない。数年前に設定された高コストの投資信託ばかり
- 米国債ファンドに投資する目的が「分配金」なら、米国債ETFを利用しよう。利払い日の異なる米国債を組み合わせても良い
- 米国債ファンドに投資する目的が「将来のための資産形成」なら、先進国債券もののインデックスファンドを利用しよう。米国債中心に投資できる
今のところは、米国債ファンドには優れた商品がないですね!eMAXIS slim 全米株式(S&P500)のような、優れた米国債インデックスファンドが欲しいところです。
オススメは米国債ETFの利用ですので、SBI証券や楽天証券でそれらのファンドを買うことを考えてみてください。ドル建てでよければ、すぐれた商品がたくさんあります。
冒頭写真:https://www.pexels.com/photo/aerial-view-of-city-buildings-1115880/