バランスファンドとは投資信託の1つのカテゴリであり、1つの投資信託で複数の資産クラスに投資できる投資信託のことを言います。
バランスファンドの一般的なメリット・デメリットを簡単にまとめると、
- メリット:複数の投資信託を選ぶ必要がない。たった1つで世界中へ投資できる
- デメリット:信託報酬(運用期間中に生じるコスト)が高くなりやすい傾向にある
といった特徴を持ちます。
本記事では、これらバランスファンドの特徴を紹介しながら、「つみたてNISA(積立NISA)」でバランスファンドをどのように活用すべきかを紹介します。
記事のポイント
- バランスファンドは投資先の分散性と、分散投資によって抑えられた価格変動リスクが魅力
- バランスファンドは高い利益を求める運用には向いていない
- 投資先を選ぶなら、「つみたてNISA」開始前から運用が行われ、ある程度純資産を持っている投資信託が良い
おさらい:バランスファンドのメリットとデメリット
バランスファンドのメリットとデメリットは下表のようになります。
バランスファンド | |
---|---|
メリット |
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デメリット |
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バランスファンドのメリット
- 世界中の株式や債券に分散投資
- たった1つの投資信託で資産形成できる
世界中の株式や債券に分散投資
Funds-i 内外7資産バランス・為替ヘッジ型の投資配分(目論見書より)
バランスファンドはたった1つの投資信託で、世界中の株式や債券に分散投資できる点がメリットです。
例えば、「つみたてNISA」で代表的な商品を見てみると、
- たわらノーロードTOPIX:日本市場(TOPIXに含まれる株式)に投資
- ニッセイ外国株式インデックスファンド:先進国市場(MSCIコクサイインデックスに含まれる株式)に投資
- eMAXIS 全世界株式インデックス:先進国市場と新興国市場に投資(MSCIオールカントリーワールドインデックスに含まれる株式)
と、基本的に1つのインデックス(指数)に含まれる市場への投資に限られます。
一方、バランスファンドの代表的な商品を見てみると、
- 世界経済インデックスファンド:債券と株式など、世界6つの資産クラスに投資
- Fund-i 内外7資産バランス・為替ヘッジ型:債券と株式など、世界7つの資産クラスに投資
- eMAXIS バランス 8資産均等型:債券と株式など、世界8つの資産クラスに投資
と、複数のインデックス(指数)に含まれる市場への投資します。
一般に、投資先が広範になればなるほど(分散性が高まるほど)、1つの市場の影響が小さくなり、より安定的な資産形成を期待できるようになります。
たった1つの投資信託で資産形成できる
バランスファンドはたった1つの投資信託で、世界中の株式や債券に分散投資できる点がメリットです。
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)の記事でも引用しましたが、投資には「卵は一つのカゴに盛るな」という有名な格言があります。
卵を一つのカゴに盛ると、そのカゴを落とした場合には、全部の卵が割れてしまうかもしれないが、複数のカゴに分けて卵を盛っておけば、そのうちの一つのカゴを落としカゴの卵が割れて駄目になったとしても、他のカゴの卵は影響を受けずにすむということ。
特定の商品だけに投資をするのではなく、複数の商品に投資を行い、リスクを分散させた方がよいという教え(=銘柄分散投資)。
関連記事:【つみたてNISA】「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」に毎月1万円積み立てたら20年後いくらになる?
この点において、特に分散度が高いのがバランスファンド。
- バランスファンドは株式や債券など、複数の資産クラスへ投資を行います
- 各資産クラスの投資先は1000社を超える株式や、1000を超える債券です
バランスファンドのデメリット
- リターンが少なくなる
- 信託報酬(運用コスト)が高くなりがち
リターンが少なくなる
一般に、投資先の分散性が高まると、その分だけ高い利益を得るのが難しくなります。分散性は価格が大きく変動するリスクを下げる一方で、大儲けできる可能性も下げてしまいます。
信託報酬(運用コスト)が高くなりがち
バランスファンドは運用期間中に発生する信託報酬(運用コスト)が高くなりやすいデメリットを持ちます。運用コストが高くなると、イコール私たちの利益が減ることを意味します。
利益が減ってしまうことを重視して、バランスファンドをあまり推奨しない専門家やファイナンシャルプランナーの方もいらっしゃいます。
「つみたてNISA」においてバランスファンドを投資先として選ぶ意義
「つみたてNISA」においてバランスファンドを選ぶ意義、それは
- よりローリスクな運用を期待できる
- 複数の投資信託を積み立てている際に生じるリバランスを不要にする
点が挙げられます。
よりローリスクな運用を期待できる
金融庁が2017年10月3日に発表した「つみたてNISA対象商品届出一覧」によると、債券のみに投資を行う投資信託は1つもありませんでした。
私たちが「つみたてNISA」を利用すると必然的に株式に投資を行う投資信託を中心に選ぶことになりますが、一般に株式のみに投資を行う投資信託は値動きが大きく、その値動きの大きさに不安を感じる方もいらっしゃいます。
そこで、分散投資の影響で価格変動リスクを抑えているバランスファンドを選ぶことで、特にあなたが初めての投資でも始めやすいメリットがあると筆者は考えます。
複数の投資信託を積み立てている際に生じるリバランスを不要にする
2つ以上の投資信託を購入して運用している場合、「リバランス」が必要になる場合があります。
リバランスとは、当初予定していた投資信託の投資配分を調整する作業のことで、
- 大きくなりすぎた側を売却し
- 小さくなりすぎた側を追加購入する
のが一般的です。
しかし、「つみたてNISA」の場合、リバランスに伴って投資信託を売却してしまうと、その非課税枠はもう二度と使えないデメリットがあります。投資信託の投資配分を小まめに調整することは「つみたてNISA」には向いていないのです。
そこで、バランスファンドを選ぶことによって、このリバランスを不要にするのです。
関連記事:リバランスのできない「つみたてNISA」ではたった1つの投資信託を選んだほうが良い
数あるバランスファンドから投資先を1つ選ぶ
では、投資先も考えてみます。
「つみたてNISA」で選択できるバランスファンド
「つみたてNISA」向けに絞られている・・・はずなんですが、それでも十分に多いですね苦笑
- たわらノーロードバランス(8資産均等型)
- iFree 8資産バランス
- <購入・換金手数料なし>ニッセイインデックスバランスF 4資産均等型
- 野村インデックスファンド・海外5資産バランス(愛称:Funds-i 海外5資産バランス)
- 野村インデックスファンド・内外7資産バランス・為替ヘッジ型(愛称:Funds-i 内外7資産バランス・為替ヘッジ型)
- 野村6資産均等バランス
- 三井住友・DC 年金バランス30(債券重点型)(愛称:マイパッケージ)
- 三井住友・DC 年金バランス50(標準型)(愛称:マイパッケージ)
- 三井住友・DC 年金バランス70(株式重点型)(愛称:マイパッケージ)
- 三井住友・DC ターゲットイヤーファンド2040(4資産タイプ)
- 三井住友・DC ターゲットイヤーファンド2045(4資産タイプ)
- SMT 世界経済インデックス・オープン
- SMT 世界経済インデックス・オープン(株式シフト型)
- SMT 世界経済インデックス・オープン(債券シフト型)
- SMT 8資産インデックスバランス・オープン
- eMAXIS slim バランス(8資産均等型)
- eMAXIS バランス(4資産均等型)
- eMAXIS バランス(8資産均等型)
- eMAXIS 最適化バランス(マイゴールキーパー)
- eMAXIS 最適化バランス(マイディフェンダー)
- eMAXIS 最適化バランス(マイミッドフィルダー)
- eMAXIS 最適化バランス(マイフォワード)
- eMAXIS 最適化バランス(マイストライカー)
- つみたて4資産均等バランス
- つみたて8資産均等バランス
- 世界経済インデックスファンド
どのバランスファンドを選ぶ?
筆者個人としては、
- DC 年金バランス30(債券重点型)
- Funds-i 内外7資産バランス・為替ヘッジ型
- eMAXIS slim バランス(8資産均等型)
- 世界経済インデックスファンド
の4つのうち、
- できるだけ損をしたくないことを選ぶなら、DC 年金バランス30(債券重点型)かFunds-i 内外7資産バランス・為替ヘッジ型
- なるべく利益を取りたいならeMAXIS slim バランス(8資産均等型)か世界経済インデックスファンド
で良いと思います。これらは
- すでに運用実績がある
- 実績があるので純資産もある
といった強みがあるからです。
運用実績が乏しいものや「つみたてNISA」にあわせて新設された投資信託は、純資産が少なくなりがちです。純資産が少ない場合、投資信託の運用に支障が出る場合がありますので、あまり選ばないほうが無難です。
そう考えると、既に運用されているから選ぶのが良いのではないか?と筆者は考えます。
関連記事:【つみたてNISA】「Funds-i 内外7資産バランス・為替ヘッジ型」に毎月1万円積み立てたら20年後いくらになる?
関連記事:【つみたてNISA】「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」に毎月1万円積み立てたら20年後いくらになる?
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まとめ
- バランスファンドは投資先の分散性と、分散投資によって抑えられた価格変動リスクが魅力
- バランスファンドは高い利益を求める運用には向いていない
- 投資先を選ぶなら、「つみたてNISA」開始前から運用が行われ、ある程度純資産を持っている投資信託が良い
各社とも似たような商品を出してくるから、同じコンセプトの投資信託が複数並んで、選ぶのが大変になってしまうんですよね。
なので、筆者個人としては、「つみたてNISA」開始前からの運用実績がある
- DC 年金バランス30(債券重点型)
- Funds-i 内外7資産バランス・為替ヘッジ型
- eMAXIS slim バランス(8資産均等型)
- 世界経済インデックスファンド
の4つを主な候補として挙げておきたいと思います。