よく「投資は怖い」と考えている方の話を聞くと、
- 元本が割れるから怖い
- 借金するかもしれないから怖い
- 自己破産するかもしれないから怖い
と、あることないことがごっちゃになっていることが多いです。
たしかに、投資である以上はお金を失うリスクを背負わなければいけませんが、投資信託はそこまで危険な商品ではありません。
そこで本記事では、「3000円投資生活」を実践する上で、起こりうる失敗と、起こりえない失敗をそれぞれご紹介。
あなたが漠然と「怖い」と思っているところを少しでも解消できれば、と思います。
記事のポイント
- 3000円投資では、現在の評価額が投資した額を下回る「元本割れ」が生じる可能性があります
- 3000円投資で被る可能性があるのは、投資額の100%までの値下がり。先物取引やFXのように、運用に失敗して、借金を抱えることは絶対にありません
- 過去の実績に基づくと、最も高リスクな商品を選択した場合、1年間で投資額の50%程度の値下がりを経験する可能性はあります
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失敗例:投資額の元本割れが起こる
3000円投資は立派な積立投資の1つなので、元本保証はありません。
関連記事:「はじめての人のための3000円投資生活」に基づく少額投資の始め方
そのため、あなたが投資した額を、現在の評価額が下回る「元本割れ」が生じることがあります。
例:「元本割れ」とはどんな状態か
例えば、3000円投資を毎月継続すると、1年後の積立額は36,000円になりますよね。
この時の評価額が35,999円以下になると、現在の評価額があなたの投資した額を下回りますので、元本割れとなります。
例えば、
- 投資額は36000円
- 現在の評価額が33,000円(-3,000円)
のとき、積み立てた投資信託を解約すると、手元に戻るお金は33,000円です。
減ってしまった-3000円分は手元に戻りません。
元本割れを防ぐためにはどうすればいい?
投資なので、100%元本割れを防ぐ方法はありません。
ただ、私たちは個人投資家ですから、いつまでに解約しなければいけない、というルールもありません。
つまり、評価額がマイナスになり、元本割れ状態になったとしても、また評価額がプラスになるまで待つこともできるのです。
- 1年運用してみてマイナスなら、もう1年運用を続けてみる
- 2年運用してみて、利益が少ないと思ったら、さらに1年運用を続けてみる
試算上では、3000円投資を含む積立投資は、運用期間が長ければ長いほど有利になりやすい特徴を持っています。
下記記事では金融庁の試算を引用し、長期投資の有意義性を紹介しています。
関連記事:「つみたてNISA」はなぜ20年?資産形成に役立つ長期分散投資の魅力
3000円投資もまた、1年や2年といった短い期間ではなく、10年や20年といいった単位で運用を継続して欲しいのです。
こんな失敗は発生しない:借金・自己破産
以下の記事でも述べたように、3000円投資では借金や自己破産といった、悲惨な失敗は起こりません。
関連記事:教えてください!「3000円投資生活」のデメリットはなんですか?
なぜ「借金は起こらない」と言いきれるのか
これは3000円投資の投資先である「投資信託」の仕組みに依存します。
投資信託は、私たち個人投資家のお金をひとまとめにし、株式や債券(国債や社債など)などに投資する金融商品のことです。
つまり、私たちは「投資信託」という中継役を通して、様々な企業の株式や債券に投資しているのと同義です。
さて、株式も債券も「有限責任」です。
「有限責任」とは、会社が倒産したときなどに、会社の債権者に対して出資額を限度として、責任を負うということを指します。つまり、会社がつぶれたときに出資したお金は消えてしまうが、それ以上は責任を負わないということです。
Q0523.有限責任と無限責任について教えてください。 | 中小機構
これは投資の話も同じで、私たちが株式や債券に投資した場合、たとえ投資先の企業が倒産したとしても、その「責任は投資したお金まで」であることを意味します。
私たちが投資信託に3000円投資したなら、たとえ何があっても、責任を負うのは3000円までなのです。
でも、「投資で借金した」という話もあるよね?
よくある投資の借金談は、
- 株式の信用取引(投資信託では信用取引は100%ありません)
- 先物取引
- FX(外国為替証拠金取引)
- 最近だとビットコインFX
など、いわゆる「証拠金取引(しょうこきんとりひき)」と呼ばれるものばかりです。
証拠金取引は、担保となるお金を入れる代わりに、その金額以上の取引ができるもので、大きな利益を期待できる一方で、失敗すると借金が残る危険な取引です。
投資信託は「証拠金取引」ではありませんので、どうか安心してください。
ここまでまとめると
あなたが3000円投資を始めた場合、
- 投資額の100%までの値下がりを経験する可能性があります
- 投資額の100%を超える損失を被る可能性は絶対にありません
つまり、「3,000円投資すれば3,000円、30,000円なら30,000円までの値下がりは有りうる」という話ですね。
実際には100%の損失もまず発生しない
「100%の値下がり = 全ての企業が倒産」これはありえない
ただ、実際には投資額の100%を失う値下がりはまずありえません。
私たちは「投資信託」という中継役を通して投資する株式や債券は、軽く1,000社以上を超えていることも多いです。
「投資額の100%を失う値下がり」とは、この1,000社が一斉に廃業・破綻するのと同義だからです。
それこそターミネーターのように、ロボットが蹂躙するような未来にならなければ考えにくい話です。
過去の実績に基づくと、最大50%程度の値下がりはありうる
ただ、世界恐慌などを理由に、1年間で最大50%程度の値下がりが発生する可能性はゼロではありません。
例えば、2008年のリーマンショックでは、先進国株式に投資する商品は、1年間で約50%程度の値下がりを経験しました。
もし3000円投資していたならば、評価額が1500円まで値下がりしたのと同義です。
この程度の値動きは将来も十分に起こりえます。
対策:預金などの資産もバランスよく増やそう
既に述べたように、一時的な値下がりを経験したとしても、それがまたプラスの評価額に戻るまで待つことができるのも私たちの強みです。
なので、世界恐慌などを理由に、慌てて3000円投資を止める必要はありません。
むしろ、現金・預金等の資産も増やしつつ、嵐が過ぎ去るのを待ちましょう。
そのほうが将来的には良い結果になる可能性が高いと筆者は考えます。
まとめ
- 3000円投資では、現在の評価額が投資した額を下回る「元本割れ」が生じる可能性があります
- 3000円投資で被る可能性があるのは、投資額の100%までの値下がり。先物取引やFXのように、運用に失敗して、借金を抱えることは絶対にありません
- 過去の実績に基づくと、最も高リスクな商品を選択した場合、1年間で投資額の50%程度の値下がりを経験する可能性はあります
ほんと、人生が狂うほどの大失敗にはなりませんので、まずは3,000円と言わず、1,000円程度からでも試してみてください。
投資信託は投資初心者に適した商品なのですから。