株主優待や配当金をもらうために、いつ株を買えばいいのか?これを考える上で、絶対に知っておかねばならない、株式投資の決め事があります。
- 権利確定日(けんりかくていび):株主として名簿に登録される日
- 権利付き最終日(けんりつきさいしゅうび):権利確定日を除く2営業日前のことで、この日までに株式を買わねばならない
- 権利落ち日(けんりおちび):権利付き最終日の翌日で株価が下落しやすい日
私たちが株主優待や配当金目的の投資をするなら、「権利付き最終日」については理解しておく必要が有ります。この日までに株式を購入しなければ、株主優待や配当金は貰えないからです。
以下、詳しく紹介していきます。
※2019年7月の株式受け渡し日の短縮化を反映済みです。
権利確定日とは
株式保有者が株主としての権利を獲得できる日のこと
権利確定日とは、株主がその銘柄を保有することで株主権利を得ることができる確定日を指します。
配当金や株主優待を取得するためには、各企業が定めている権利確定日に株主として株主名簿に記載されている必要があります。
そのためには、権利確定日の2営業日前の権利付最終日までに株式を購入しなければなりません。
権利確定日とは、株主の権利判定が行われる日のことです。
- 権利確定日に株式を保有している:次の権利確定日までは株主として、株主名簿に記載される
- 権利確定日に株式を保有していない:株主にはならない
権利確定日が重要な理由 = 株主優待や配当金の支給対象者が決まる日だから
株主優待を貰うためには、権利確定日に株式を保有し、その企業の株主になる必要があります。株主になれなければ(権利確定日に株式を持っていなければ)、株主優待は絶対にもらえません。
余談ですが、議決権(株主総会で投票できる権利)が決まるのも権利確定日です。株主としての権利を行使できるかどうか、が判定される日ということですね。
権利確定日は年に何回ある?
権利確定日の回数は企業によって異なっており、一般的には年1~4回で、特に年1回もしくは2回の企業が多いです。例を挙げると、
- トヨタ・イオン・日産自動車・ANA・JALなど:年2回
- マックスバリュ各社・イオン北海道など:年1回
- あおぞら銀行・GMOフィナンシャルホールディングスなど:年4回
権利確定日が4回の企業は、(配当を設定している場合)四半期ごとに配当金を分配してくれるため、分配頻度が高く、嬉しく感じると思います。
権利確定日はいつなのか
3月・9月の月末日(平日)が多いが、企業ごとに異なる
一般に権利確定日は、3月と9月の月末(平日)に設定されることが多いです。
企業によっては他の月を権利確定日に設定することもあります。例えば、イオン系列などの小売系では、2月と8月の月末が権利確定日です。
また、少数ながら15日締めや20日締めの企業の場合には、それぞれ15日や20日が権利確定日に設定されることもあります。有名企業の例を挙げると以下の通りです。
- ダイドーグループホールディングス (2590):1月・7月の20日(年2回)
- しまむら (8227):2月20日(年1回)
- 象印マホービン (7965):11月20日(年1回)
休日(土日祝日)の権利確定日は前営業日に前倒し
権利確定日が休日(土日祝日)にあたった場合には、その前営業日に前倒しされます。例えば、2018年4月30日は、前日の昭和の日の振替休日にあたりますので、権利確定日は前倒しされ、前週の27日となっています。
権利確定日 ≒ 配当基準日
配当基準日(はいとうきじゅんび)とは、配当の権利が発生する基準日のことです。株主優待を随時提供する例外を除くと、権利確定日と配当基準日は同一日に設定されます。
なお、企業が実際に配当の支払いを開始する日のことを「配当効力発生日(はいとうこうりょくはっせいび)」と呼びます。
権利確定日と権利付き最終日の関係
権利付き最終日(けんりつきさいしゅうび)とは、権利確定日を含めて4営業日さかのぼった日のことです。配当金や株主優待を受け取るためには、権利付き最終日までに株式を買う必要があります。
ここがややこしい!実際に株式を購入すべき期限日は「権利付き最終日」
2019年8月現在、株式の取引は支払い日を除いて、2営業日目(支払日をふくめれば3営業日目)に株式の受け渡しが行われます。そのため、実際には月末の権利確定日当日に株式を購入しても手遅れで、権利確定日を含めて3営業日前の「権利付き最終日」に株式を保有していなければいけないのです。
買い注文…約定日から2営業日後に購入代金を引き渡して(※)、株式を受け取ります。
売り注文…約定日から2営業日後に保有株式を引き渡して、売却代金を受け取ります。
※当社では、購入時の代金は前受金制となります。(例)約定日から受渡日までの日程
約定日:月曜日⇒受渡日:水曜日
約定日:木曜日⇒受渡日:月曜日 (土曜日・日曜日などの非営業日は受け渡しを行いません)
繰り返します。
株式を購入すべき期限は、権利確定日当日(月末日)ではなく、権利確定日を含めて3営業日前の権利付き最終日なのです。
例)権利確定日と権利付き最終日の関係。2019年8月の場合
出典:SBI証券
このSBI証券のイラストでは、
- 権利確定日:2019年8月30日(※)
- 権利付き最終日:2019年8月28日(権利確定日を除く2営業日前)
※土日祝日は権利確定日にならない
となっています。この例で、私たちが株主優待を得るならば、2019年8月28日(権利付き最終日)までに株を買わねばなりません。ややこしいですが、株取引は売買が成立した日を除いた2営業日目に行われるので、権利確定日と権利付き最終日が異なる、という仕組みになっています。
さらにややこしい点:権利付き最終日はカレンダー次第で変わる
権利付き最終日は毎年流動的です。「権利確定日から3営業日前」なのは変わりませんが、間に土日祝日を挟むと、月末までの営業日数が変わりますので、その分だけ権利付き最終日も前倒しされてしまうのです。
これではちょっと困りますよね。
対策:権利付き最終日のアナウンスをしてくれる証券会社を選ぼう
しかし、ここに不安を感じる必要はありません。証券会社各社は、
- 「権利確定日(権利付き最終日)は何日か」をウェブサイト上でアナウンスしています
- メルマガ等でも、「権利確定日(権利付き最終日)は何日か」定期的に連絡してくれます
と、様々な手段であなたに「権利付き最終日はいつか。いつまでに株を買えば良いか」を伝えてくれるからです。
例えば、SBI証券は株主優待のメルマガコンテンツも豊富ですので、それを見ていれば「この日までに株を買えばいいんだ」ってわかってきます。ここが、初心者にはSBI証券をオススメしたい理由の1つです。
権利落ち日とは
権利落ち日とは権利付き最終日の翌営業日のことです。株主優待や配当金目当ての投資家の一部が株式を売却するため、前営業日よりも株価が下がりやすい特徴を持っています。
株主優待で有名な企業の株価の下落率
以下は、株主優待で有名な企業の、権利落ち日の株価の下落率(前日比)を求めたものです。
- 日本マクドナルドホールディングス:約1.5%
- すかいらーく:約1.1%
- イオン:約1.4%
このことは、権利付き最終日に株主優待銘柄などを購入すると、翌日含み損を抱えやすいことを意味します。権利付き最終日ではなく、もっと早いうちに優待株を仕込んでおきましょう、ということですね。
権利確定日の直前は株価が上がりやすいわけですから、そこで一緒に高いところで買うのは避けた方が良いと思います、慌てないために早めの段階から、株価をある程度見ておく
夜間取引(PTS)と権利付き最終日の関係
- 権利付き最終日当日のデイセッション:配当金・株主優待の対象に
- 権利付き最終日当日のナイトセッション:権利落ち日扱いに(配当金・株主優待の対象にならない)
権利付き最終日当日のナイトセッションは「権利落ち日」扱い
2019年現在、SBI証券、楽天証券、松井証券の3社が「PTS(私設取引システム)」を導入しており、夜間の株取引(ナイトセッション)にも対応しています。
ナイトセッションは翌営業日の取引とみなされますので、権利付き最終日のナイトセッションで株式を購入しても、株主優待や配当金の分配対象にはなりません。
Q:PTS(SBI PTS)での取引の約定日はいつですか?
A:売買が成立した日を約定日とします。
なお、デイタイム・セッションにおいて約定した取引の場合は約定日から2 営業日後に、ナイトタイム・セッションの場合は約定日から3 営業日後に、それぞれ決済(受け渡し)を行ないます。※取引所取引における権利付最終売買日の取引所取引終了後に開始されるナイトタイム・セッションは、権利落ちでの取引となります。
権利確定日を「随時(毎月)」設定する変わった銘柄
カブドットコム証券(8703)や岡三証券グループ(8609)のように、権利確定月を随時(毎月)設定する企業もごくわずかにあります。
例えば、カブドットコム証券は、カブドットコム証券口座開設者が同社の株式を購入した場合、その翌月から株式委託手数料の割引サービスを提供します。長期保有するほど割引率が高まって行くため、カブドットコム証券を利用するなら絶対に獲得したい優待です。
岡三証券グループは、株式保有者に対し、岡三証券の口座管理手数料の無料化を提供します。が、現在は口座管理手数料無料の証券会社が多いので、時代遅れ感は否めないですね。
いずれも配当基準日は年2回(岡三証券グループ)、年1回(カブドットコム証券)となっており、優待の権利は随時行使できるが、配当の権利は他の企業同様となっています。
まとめ
- 株主としての権利が発生する日を「権利確定日」という。ただ、実際に株を買うべき期限は、権利確定日を含めて3営業日さかのぼった「権利付き最終日」
- 権利確定日は年1~4回で、主に3月と9月の月末日に設定する企業が多い。月末日が土日祝日なら、権利確定日は前営業日前倒し(権利付き最終日もその分、前にずれる)
- PTSの夜間取引は、翌営業日の取引扱いになるので、権利付き最終日のナイトセッションに株を購入しても、株主の権利は得られない
何度も繰り返しますが、優待株を購入する期限は「権利付き最終日」です。この日までに株を買い逃さないように、情報を収集していきましょう!