SBI証券が提供する株取引アプリ「HYPER株アプリ」の通信量(データ量)を測定し、標準的な利用で想定される通信量の算出を行いました。
その結果、
- 多めに誤差を見ても0.05ギガバイト
- 最も過度に使ったとしても、0.89ギガバイト
と得られました。
過度につかった条件は、非現実的な使い方を想定しています。通常はそこまで通信量を使うことはありません。
ただ、通信量はあなたの使い方によって異なります。毎日アプリを使うデイトレーダーと、1週間に1回株価をチェックする人では、当然前者のほうが通信量が多くなります。
あなたが通信料を気にするならば、アプリの株価更新間隔を遅くする(もしくは止める)こともできます。特に通信上限のきつい格安スマホ利用時には更新頻度を下げての利用もオススメです。
なお、スマホのスペック表で見かける「GB」「RAM」「ROM」といった言葉は「スマホ株アプリを使うために必要なスペックは何ギガ(GB)?」で紹介しています。
「何ギガ(GB)」とは何か
まずおさらいです。
ギガバイトとは、電子データの情報量を示すバイト(byte)に、サイズの大きさを示す接頭辞ギガ(Giga)をくっつけた言葉です。私たちになじみの深い単位「キロ」の1000倍の1000倍の大きさを示します(デジタルは2進法なので、厳密には1024倍の1024倍)。
ギガの下の単位として「メガ(ギガの1000分の1)」、ギガの上には「テラ(ギガの1000倍)」があります。
スマホが登場し始めた頃の通信契約は、パケット(通信を小分けにしたもの)無制限で契約を行うのが一般的でした。しかし、その後スマホの発達にともない、ユーザーの動画試聴や音楽のストリーミング再生が一般的になってきたため、通信量の増大化が問題になってきました。
現在の通信契約では、パケット通信量の上限を5GBや7GBと制限し、その制限を超えた場合には通信速度規制などのペナルティを課せられるのが一般的です。通信量チェックアプリもプリインストールされているなど、ユーザーがどの程度データ通信を行ったをチェックできるにもなっています。
株取引でどの程度通信量がかかるか
今回は株取引でどの程度通信量がかかるかをテーマに、一定時間証券取引アプリの通信量を監視することで、そこから必要となる通信量を推定することにしました。
冒頭でも述べたとおり、この結果は、あなたの株取引アプリの使い方によって変わることはご了承ください。
チェック環境
SBI証券がリリースしている「HYPER株アプリ 5.0.02」を利用します。インストール環境はASUS MeMO Pad(ME173X Android 4.2.2)です。
通信量チェックには、「リアルタイム通信監視 2.10」を利用します。これはアプリごとに通信量を取得できるフリーのアプリです。
これら2つのアプリを同時起動させ、HYPER株アプリの
- 1ページあたりの更新量(手動操作)
- 寄り付き前の板更新量(5秒間隔/3分間)
- 寄り付き後の板更新量(1秒間隔/5分間)
をそれぞれチェックします(板とは株価ボードのことです)。
モバイルサイトやスマホアプリで「株価ボード」を表示させると、アプリの設定した間隔で自動更新が行われます。今回設定した1秒は最速の設定で、人が操作するよりも早い間隔です。
「板(株価ボード)」については気配値とは?あの表はどのように見ればいいの?をご覧ください。
結果
1ページあたりの更新量(手動操作)
各種指標画面
1ページあたりの更新量チェックは、HYPER株アプリの各種指標画面を手動で更新させました。通信量は、
- 送信(上り)1,708バイト
- 受信(下り)11,048バイト
で、計12,756バイト。ギガバイト換算で0.0000118ですが・・・ゼロが多すぎて分かりにくいですね。
上りとは、あなたのスマホからSBI証券のサーバーへ「ページの新しい情報をくれ」という「催促」、下りは催促に対してサーバーからあなたのスマホへ送られてきたページの情報です。
寄り付き前の板更新量(5秒間隔/3分間)
板
株式市場が開く前(寄り付き前)の板更新量(5秒間隔/3分間)は、みずほフィナンシャルグループ株(証券コード:8411)の板情報を更新させます。みずほフィナンシャルグループ株式は日常的に注文量の多い銘柄の1つです。
市場が開いた後(寄り付き後)に比べると緩い動きですが、それでも取引量の多い銘柄ですから、注文が反映されていくのがわかります。
寄り付き前の板通信量
結果は上記の図の通りです。
1分間の平均値にすると、
- 上り7,048バイト
- 下り55,609バイト
計62,657バイトでした。
寄り付き後の板更新量(1秒間隔/5分間)
寄り付き後の板更新量(1秒間隔/5分間)は、引き続き、みずほフィナンシャルグループ株の板情報を更新させます。寄り付き前に比べると、桁違いの更新量で、活発に取引が行われていくのがわかります。
結果は1分間の平均値にすると、
- 上り29,589バイト
- 下り129,304バイト
計158,892バイトでした。
寄り付き後は板の情報を活発に書き換えるために、寄り前に対して平均通信量は増えています。
結局何ギガぐらい必要なの?
最も通信量を使うケース
最も通信量を使うケースとして、月曜日から金曜日の毎取引時間中、常に板を見ていたと仮定します。
1日の株式取引時間は300分ですので、1ヶ月の平日日数を20日とすると、総取引時間は6,000分になります。
- 前場:午前9時~11時半 = 150分
- 後場:午前12時半~15時 = 150分
寄り付き後の板更新量の結果より、1分当たりの通信量を160,000バイトとすると、160,000バイト × 6,000分で960,000,000バイトです。ギガバイトに換算すると0.89ギガバイトになります。
通常の大手携帯各社での契約なら、余力のある通信量です。一方、例えば1ギガバイトを通信量上限に設定した格安スマホでは、ギリギリな通信量です。
ただ、こんな使い方は誰もできません。
なぜなら、スマホがディスプレイの消えたスリープ状態になると、HYPER株アプリは更新をやめてしまうからです。6,000分通信を継続させるには、6,000分ディスプレイを表示させ続ける必要があります。
そんな愚かな使い方は誰もしないはずです。
現実的なケース
現実的なケースとして、月曜日から金曜日の毎取引時間中、15分板を見てたとします。株の売買を考慮し、1日あたり100回の手動ページ更新を伴ったとします。このケースでは、1ヶ月あたりの平日の日数を20日とすると、1日15分 × 20日 = 総取引時間は300分です。
1分当たりの通信量を160,000バイトとすると、160,000バイト × 300分で48,000,000バイト。ギガバイトに換算すると0.04ギガバイトになります。
1ページあたりの通信量を15,000バイトとすると、15,000バイト × 100回 × 20日で30,000,000バイト。ギガバイトに換算すると0.03ギガバイトです。
両方を加算し、かつ多めに誤差を見ても0.1ギガバイトですから、通信上限を気にする必要はありません。
ちなみに長期投資を行ってる筆者の、2016年6月のHYPER株アプリ通信量は、わずか6メガバイト(0.006ギガバイト)でした。頻繁にアプリを使っていなければこんなものです。
速度制限された格安スマホで株取引アプリを利用できるか?
通信ではbps(bit per second)という単位も使われます。1bpsは1秒間に1ビット(1バイトの8分の1)のデータを送信できます。
1分間で約160,000バイトの通信とは、1秒あたり約2,666バイトです。bpsに直すと2,666 × 8ビット = 約21,333ビット(20.8kbps)になります。
すなわち、20.8kbps以上の回線速度が出ていれば、スマホアプリでの株取引には支障がない計算です。
格安スマホの通信量は、速度制限されても200kbpsです。計算上は、速度制限された格安スマホにおいても、取引に支障ありません。
ただし、スマホの通信速度はベストエフォート方式と呼ばれ、常時最高速度が出るとは限りません。また、他のアプリがバッググラウンドで通信することも考慮すると、速度制限された格安スマホでは取引に支障が出る可能性があります。
ペナルティが付かない状態(3GやLTEをフルに使える状態)では、回線の混雑でもない限り問題ありません。
なぜ、株取引アプリはあまりデータ通信量を使わないの?
画像、音楽、動画をほとんどダウンロードしないからです。
そもそも株取引アプリは株価に関するデータやニュースなど、文字情報だけやりとりすれば十分です。
- あなたのスマホと証券会社のサーバーは株価やニュース情報だけを通信します
- 証券会社のサーバーから受け取った株価を、あなたの証券アプリのプログラムによってチャート情報に表します
一般に通信量が大きくなるのは、画像、音楽や動画のダウンロード・ストリーミング再生を伴うアプリです。
- スマホでYoutubeを見たりしていますか?
- 撮影した写真をTwitter、Facebook、インスタグラムなどのSNSに頻繁に投稿していませんか?
例えば、筆者が別所で検証した某音楽ストリーミングアプリの通信量は1分あたり約500,000バイトです。この通信量は、1ヶ月間連続使用し続けると、余裕で通信上限に引っかかります。
これらの通信量に比べれば、株式アプリの通信量など微々たるものです。
まとめ
- 検証したHYPER株アプリの通信量は現実的な想定でも0.1ギガバイト。実際にはもっと少なくなるはず
- 株取引アプリの通信量が少ない理由は、文字情報だけを送受信しているから
- 株取引アプリの通信間隔はあなたのお好みで設定できる。通信制限が厳しいなら、自動更新を遅らせるか止めてみて
通信上限の厳しい(例えば1GB)格安スマホを除けば、株取引アプリの通信量を気にする必要はありません。筆者もTwitterやLINEとともにHYPER株アプリを利用しています。
また、ここでは検証しませんでしたが、FXの取引アプリもおおよそ似たような通信量になると考えられます。FXも文字情報の更新が主体で、音楽や動画のストリーミングを伴わないからです。
板の更新頻度はあなたのお好みに設定できます。自動更新を止めると、通信量の節約になります。
更新頻度の設定画面
1日の株式取引時間は300分ですので、1ヶ月の平日日数を20日とすると、総取引時間は6,000分になります。
前場:午前9時~11時半 = 150分
後場:午前12時半~15時 = 150分
爆笑です!PCでいつも放置点灯のままですが、これスマホでやれません死にますよ。歩きスマホで、100人は町でぶつかる羽目になりそうです。
6/12 ソフトバンクから1GBまでの980円(1年間のみ)登場でやる予定なんですが、
これにNews毎日、天気予報毎日、Amazon観覧。一方PCのみで、Facebook、Twitter、you tube動画類。
これでしたら1GB行きませんよね?
ハイパーアプリメインで格安スマホ挑戦ということなんですよ。
PC版ハイパー2005年からなんで、とてもスマホで毎日1時間見続けるのはきついです。
大変参考になりました。これが真実ならば980円スマホやってみます。助かりました。
詳しい解説は助かります。