株式を購入するときに、
- 今の株価は割安なのか。妥当なのか。割高なのか
- 株主優待のために買うなら、どのタイミングがよいか
- 投資する上で何か注意すべきことはあるか
など、投資で失敗しないための様々な疑問や不安を抱えるかと思います。
そこで、本記事では代表的な株主優待銘柄で、個人投資家の注目度も高い「イオン(証券コード:8267)」の、
- 理論株価
- 日経平均株価との相関性
- 株主優待の権利が決まった次の日の騰落率
- 1年のうちの買い時
などを、過去の株価データを利用して検証してみました。
イオンの株主優待については、以下の記事をどうぞ。
以下で述べる話題は、様々な仮定や過去のデータに基づく検証であり、あなたの将来の運用成績を保証するものではありません。
記事のポイント
- イオン株式の理論株価は、2018年7月14日時点で1株1772.6円。PERも日経平均株価以上に買われており、割高な可能性が高い
- イオンの株価は、日経平均株価との相関性が高い。1年のうち、春と秋はやや低めの株価で推移する可能性がある
- 権利落ち日の株価騰落率は平均1.41%の下落。3%を超えて下落する場合もあるので、株主優待の権利確定日当日に株式を買うのはやめたほうが良い
理論株価を求めてみる
理論株価の求め方には様々な手法があるそうで、たった一つの公式は無いです。そこで、本記事では、以下の1サイト、および日下邦弘氏が発案する手法を利用し、イオンの理論株価を算出してみました。
https://okanenotamekata.blog.so-net.ne.jp/accurateprice
先に結果だけ述べておくと以下の通りです。
手法 | PERを使った方法 | EPSとBPSを使った方法 |
---|---|---|
理論株価 | 2,206円 | 1,789円 |
2018年7月14日時点で、イオンの2019年2月期の予想PER(株価収益率)は54.96倍と、日経平均株価を構成する225銘柄の平均PERである14.47倍(前期基準)を上回ります。
PER(株価収益率)は「今の株価が1株あたりの純利益の何倍か」をあらわすもので、数値が低いほど割安です。
PERを使った方法
まずこちらのサイトの手法。
https://okanenotamekata.blog.so-net.ne.jp/accurateprice
理論株価=予想年間純利益÷発行済み株式数×PER
この計算では、以下の数値を利用します。
- 予想年間純利益:350億円(2018年度予想)(決算資料より)
- 発行済み株式数:871,924,572株
- PER:54.96倍(四季報より)
http://www.aeon.info/ir/stock/stock.html
ここから求まるイオンの理論株価は「2,206円」となります。偶然か否か、2018年7月13日時点の終値(2,204円)とほぼ同値ですね。
EPSとBPSを使った方法
EPSとBPSを利用した方法は、日下邦弘氏(2006年時点でインタートレード投資顧問(株)所属)が発案した手法で、資本価値、利益価値、成長価値を利用して、理論株価を求める方法です。
理論株価=EPS×10+BPS
出典:クオンツ理論株価で見つける割安株
この計算では、以下の数値を利用します。
- EPS(1株純利益):40.1円(四季報より)
- BPS(1株純資産):1371.6円(四季報ほか、コーポレートサイトでも閲覧できます)
http://www.aeon.info/ir/finance/finance.html
ここから求まるイオンの理論株価は「1772.6円」となります。現在は割高な状況と言えそうです。
ちなみに、「みんかぶ」のイオン理論株価は?
2018年7月14日時点で「1732円」だそうです。EPSとBPSを使った手法に近いんですかね。
イオン株価と日経平均株価の相関性
高い相関性が見られる(N225構成銘柄なので当然っちゃ当然)
2013年1月1日以降のイオンの株価と日経平均株価を比較し、両者の相関係数を求めてみました。
完全な正の相関の時、+1の値となり、完全な負の相関の時に-1の値となり、完全な無相関の時に0の値となる。
その結果、イオンの株価と日経平均株価の相関係数は「0.83」と高い相関性を示します。イオンは日経平均株価を構成する銘柄なので、相関度合いが高いのは当然ともいえますよね。
以下のグラフは横軸にイオン株価、縦軸に日経平均株価をとったものので、同じ日の終値でプロットしたものです。基本的に、日経平均株価が上がればイオンの株価も上がりやすく、逆も同様です。
余談:株主優待目的でマックスバリュ各社とのポートフォリオを組む際は注意
イオンとマックスバリュ各社の株主優待は併用できるので、あなたもそれ目的で両社を保有したいと考えているかもしれません。が、イオンとマックスバリュ各社の株価はやや正の相関性があるので、注意が必要です。
というのも、イオンとマックスバリュ各社の株価は連動して値動きする可能性があるため、
- 日経平均株価が下がる
- イオンの株価も下がる
- マックスバリュ各社の株価も下がる
- ポートフォリオが大きく値下がりする
といった話になるかもしれないからです。
MV北海道 | MV東北 | MV東海 | MV中部 | MV西日本 | MV九州 | |
---|---|---|---|---|---|---|
日経平均 | 0.88 | 0.90 | 0.91 | 0.83 | 0.91 | 0.92 |
イオン | 0.78 | 0.76 | 0.81 | 0.59 | 0.80 | 0.80 |
イオンの株主優待権利が決まった翌日(権利落ち日)の株価騰落率
平均1.41%の下落。最大で3%超
以下は、2013年以降のイオン株式の権利落ち日における、株価の騰落率(とうらくりつ)(前日比)をまとめたものです。平均すると、権利落ち日は前日より約1.41%株価が下落する可能性があります。
日付 | 株価騰落率(前日比) |
---|---|
2018/02/26 | -0.16 |
2017/08/29 | -2.50 |
2017/02/24 | -1.42 |
2016/08/29 | -2.14 |
2016/02/25 | +3.31 |
2015/08/27 | +1.16 |
2015/02/25 | -1.34 |
2014/08/27 | -2.36 |
2014/02/26 | -2.77 |
2013/08/28 | -3.83 |
2013/02/26 | -3.52 |
2013年以降、11回の権利落ちで9回は株価が下落しており、権利確定日当日に株主優待目的でイオン株式を購入すると、翌日損失を抱える可能性は高いと言えます。
しばしば3%を超える下落を経験する可能性もあるので、株主優待目的ならできるだけ事前に仕込みたい銘柄ですね。
年間でもっとも株価が高かった時期と安かった時期
あんまり当てにならないでしょうが、2013年1月以降の各年で、イオンの株価が年初来高値を記録した日と年初来安値を記録した日をまとめてみました(いずれも終値ベース)。
年 | 年初来高値 | 年初来安値 |
---|---|---|
2018 | 6月12日 | 3月2日 |
2017 | 12月13日 | 9月8日 |
2016 | 1月6日 | 2月18日 |
2015 | 8月4日 | 1月14日 |
2014 | 1月8日 | 10月17日 |
2013 | 12月30日 | 1月9日 |
正直微妙なところですが、3月・4月や9月・10月は株価があまり高くならないかもしれません。夏や冬はボーナスでお金を持っている個人投資家も多いですし、高値でも積極的に買う人が多いのかも。
あとは先に述べたように、日経平均株価など外部環境にも依存します。
イオンの株を買うタイミングはどうやって探せばいい?
上述の通り、3月・4月や9月・10月はイオン株式の買い時になる可能性があります。
よくわからなかったら、
- 楽天証券のスマホ「iSPEED」を使って、テクニカルで買い時を探す
- GMOクリック証券の財務分析ツールを使って、株価が下がったタイミングを狙う(ただ、イオンはいつも割高だと思う)
などが挙げられます。
イオンの場合、株主優待をフル活用すれば、1年間で投資額の最大15%程度は元を取れます。どうしても、イオンの株式を買いたい場合には、あまりタイミングは気にせず、株主優待を使って、キャッシュバックで投資額を回収する方向で考えたほうが良いと思います。
まとめ
- イオン株式の理論株価は、2018年7月14日時点で1株1772.6円。PERも日経平均株価以上に買われており、割高な可能性が高い
- イオンの株価は、日経平均株価との相関性が高い。1年のうち、春と秋はやや低めの株価で推移する可能性がある
- 権利落ち日の株価騰落率は平均1.41%の下落。3%を超えて下落する場合もあるので、株主優待の権利確定日当日に株式を買うのはやめたほうが良い
ちなみに、あなたがこれから初めてイオンの株式を買って、株主優待生活を目指すなら、SBI証券や楽天証券等のネット証券の利用をオススメ。ここまでの検証に利用した四季報のデータや、過去の株価データも閲覧できます。